日本社会の特質

共同性が低く支配層がマウントをしてくる

2025/06/07

　私は現在66歳である。1959年生まれで第二次世界大戦の経験はない。第二次世界大戦敗戦後、日本は7年に及ぶ連合国支配を受けた。日本語で間違えて翻訳されている「international union」(KOKUSAI-RENGOU)が実は第二次世界大戦の戦勝国の団体であることを日本人のほとんどは知らない。中立公平な国際機関であると思っている。

　連合国諸国はアルカディア会談を持ち、枢軸国諸国敗戦後の世界秩序を1941年から話し合っていた。

　私の父は日本での大学在学時代に「徴兵」を受け、日本国内の戦場に赴いた。アメリカ軍の日本上陸に備えて海岸線の戦線で兵役に従事した。1947年に大学を卒業した父は、戦後の平和な日本社会の中で、日本の復興に携わった。父は8年前に他界したが、人生を通じて戦争記録を読み続けた。父の多くの学友・友人知人のみならず、空襲・飢餓・疫病・日本への引き上げの混乱の中で多くの日本人が死んだことを、父は忘れなかった。

　私は韓国延世大学語学別科で1986年に半年間韓国語を学び、1989年から数年間延世大学語学別科で日本語教師を担当した。韓国は延べ37年間の日本植民地統治支配を受け、大きな被害を受けた。1919年3月1日の独立運動においては、日本の官憲が独立を希求する市民たちをキリスト教教会に監禁し火を放ち、多くの一般市民が殺された。第二次世界大戦のアジアにおける死亡者は、戦士・飢餓・暴行などを含めて、日本人の戦争関連死者数を大きく上回る。UN5大国で言うだけでも、ソ連は3000〜4000万人、中国は3000万人の戦争関連死亡者が出ている。

UNは枢軸国諸国に対する戦争での死亡者数に比して、その発言権が尊重されるべきであることは当然のことである。中国は日本に侵略されて15年間もの戦争を強要された。ソ連はナチスドイツの侵略を受けて、ソ連ドイツ戦争だけで2700万人もの死者を出した。ソ連の一党独裁体制を批判する者も多いが、当時ソ連が英仏米タイプの自由主義選挙制度議会であったならば、とても一丸となって戦い、ナチズムに勝利することはできなかったであろう。ソ連人・ユダヤ人に多数の死者を出しておきながら、英米は選挙民のご機嫌を伺い、迅速にソ連・ユダヤ人の救出に動かなかった。ノルマンジー上陸作戦についても英国首相チャーチルは賛同せず、英国人の被害が出ることを一番に気にしていた。米ソという2大国が獅子と熊であるとすれば、英国はやせたロバであると比喩した。

　世界に多くの被害を出して、第二次世界大戦は連合国諸国の勝利で終わった。その被害の大きさから、枢軸国側の戦争主導者が、国際的な法廷で裁かれた。当然のことである。日本国内では「東京裁判は勝者による一方的な裁判であり不当である」という意見が、残念ながら多数ある。開戦時首相東条英機被告は「中国はじめアジア各地への侵略は防衛の為の自衛戦争である」と一貫して主張した。これは非常に重大な問題を含んでいる。

　1970年代初頭、UNにおいて「中国の正式な議席は1つであり、その議席は中華人民共和国のものである」という決議がされた。3分の2の賛成が必要である議決が認められた。米国ニクソン大統領、日本佐藤栄作首相が驚いた顔をした写真が新聞に掲載されたのを小学生だった私はよく覚えている。台湾政府は賛成票が3分の2までは伸びないだろうと考えて「引き続きUN常任国中国の議席は台湾政府のものである」という主張をし、中華人民共和国を正当な政府国家と認めなかった。つまり国際法上、台湾政府が統治する所は金門島などの島嶼を含めて「中華人民共和国の一部である」という解釈が成り立つ。

　私は起こってほしくないと思っているが、万が一に軍事的な台湾有事の事態になった時のことを考えてみよう。

　台湾海峡が封鎖されて、台湾統治を目的に「国内問題である」として、中国軍が台湾政府と戦争状態になったと仮定しよう。それに対して、日米が台湾政府を防衛するために出兵し、中国軍と戦闘になったとしよう。そして中国軍に死者が出たとしよう。その時に、

―――中国軍が、「自国防衛の為」に、在日米軍基地及び自衛隊基地を攻撃することは「自国の自衛権」に属するのだ。

　東京裁判でアジア太平洋オセアニアへの侵略を行った日本国の首相であった東条英機が「自国の防衛戦争であって無罪である」と主張したことは、台湾有事で中国に被害が出た場合に、中国は同じ理論で在日米軍・自衛隊、もし韓国政府も協力していれば、在韓米軍・韓国軍を「防衛の為」に攻撃できるのだ。

　1931年9月18日の中国東北部への日本軍の侵略は、中国が鉄道を爆破したというでっちあげにより、膨張していた軍部が暴走した侵略であったが、それを止める責任が当時の近衛文麿首相と天皇にあったことは言うまでもない。

　日本の読売新聞社から「新聞記者が語りつぐ戦争」というシリーズの本が出ている。その中に『中国侵略』という本があり、私は丁寧に読んだ。あまりの日本軍の中国侵略の酷さに辛くなった。中国の一般集落の家族が「反日分子」ではないかと疑い、その集落民の前で、赤ん坊たちを銃剣で刺し殺して、天に突き上げた記述があった。その日本兵士たちは生きて日本に戻ったが、読売新聞記者とともにその集落に慰霊に訪れた。

　簡単に言おう。侵略する日本軍は、中国人を劣等民族として見ていた。中国人たちは日本に従うべきであり、殺されても文句を言うべきではないという哲学が支配していた。これは明治時代に新しい政府が日本にできた団塊で、アイヌ人・沖縄人が「土人法」という法律によって差別されていたことを、海外領土韓国朝鮮、台湾にも敷衍させて軍国主義に傾倒した日本が、侵略した土地の民族をさらに下に見て「せめて日本人になり天皇の国民になるように」と皇国臣民化政策を進めるのがわずかな横暴の中に見られる善意であった。それらの土地の人々にとっては神道を強要され、天皇崇拝を強要され、侵略戦争への支持を強要されたとんでもない出来事であった。

　漢字も仏教も儒教も中国で発生または成長し、韓国朝鮮を経て日本に文化流入してきた。戦争中も「孔子」の論語を道徳の基本として日本は教育していた。その本国を攻撃したのである。

　さて、日本は敗戦し、独立を失い、政府天皇を含めてGHQの支配下に入った。明治時代に制定された「大日本帝国憲法」が軍国主義を招き、アジア太平洋オセアニアに多大な被災を与え、日本人自身にも甚大は被害が生じた。

　日本には現在の日本国憲法はアメリカに強要されたものだという考えを持つ人々が多くいる。日本政府の憲法改正作業が遅々として進まず、民間の憲法案を評価したGHQが、これを援用して作成したものである。TAKANO-IWASABUROU,BABA-TSUNEGO,

SUGIMORI-KOUJIROU,MORITO-TATSUO,IWABUCHI-TATSUO,

MUROBUSHI-TAKANOBU,SUZUKI-YASUZOU の7名からなる「憲法研究会」の案である。TAKANO は1946年に日本の公共放送NHKの会長に就任。BABA は1945年12月から数年間読売新聞社長を務めた。同月貴族院議員にも勅選された。MORITO は衆議院議員を3期務め、文部大臣に就いた。議員退職後に広島大学学長に就任し、原爆被害を受けた広島大学の復興に努めた。IWABUCHI は1946年に貴族院勅選議員となり、読売新聞社に復帰して主筆を務めた。MUROBUSHI は戦前日本の侵略戦争を支持する評論の立場であったが、戦後『新生＝新しく生まれる』を発刊し、戦後民主主義論客の評論の場を提供した。

　NHKで1996年11月30日から4回シリーズで放送された「憲法はまだか」、1993年2月に放送された「日本国憲法を生んだ密室の九日間」、「日本国憲法誕生」2007年放送、石原典生・日本記録映画社「昭和天皇とその時代第1巻・第2巻」、「日米開戦と東條英機　ドラマあの戦争は何だったのか」、「アメリカ占領下の日本 第2巻　最高司令官マッカーサー 企画・制作：ウォークプロモーションamericasenryoukano nihon2」、「アメリカ占領下の日本 第3巻　東京裁判　企画・制作：ウォークプロモーションamericasenryoukano nihon3」、「映像の世紀第11集　JAPANパート占領政策」、「独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた 昭和編BS1スペシャル」、「独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた 平成編BS1スペシャル」などを何度も見て「日本国憲法」の理念を再確認した。

　私は日本の大学院で日本語教育学を収め、文学修士号を取得している。政治的な立場に立たず、純粋に歴史的・言語的資料として「日本国憲法」を再定義してみた。また韓国ソウルでの大学語学別科での日本語教師時代に、多くの「KOREAN WAR」の体験を韓国の年配者から直接聞くことができた。東側・西側がその版図を半島全体に広げようと激烈な戦争が行われ、KOREA半島の人々の6人に1人が死亡するという悲惨な結果を招いた。韓国に居住した私の体験も踏まえて、2025年における「日本国憲法の意義」について述べたいと思う。

�@ 「日本」とは何か「神道」とは何か「天皇」とは何か

　私は教育学系の大学を卒業した者である。中学高校の社会科の教員免許を持っている。日本史教育の授業を受け、質疑応答も活発にあった。戦前の「皇国史観」への批判から、発掘や文書資料などによって、歴史教育は再出発をした。「天皇」という称号は推古朝時代の仏像の光背に初見され、それまでは「大王」という称号が用いられていたとされる。Wikipediaの「大王（ヤマト王権）」には以下の記述がある。

―――大王（おおきみ、だいおう）または治天下大王（あめのしたしろしめすおおきみ、ちてんかだいおう）は、大和時代から飛鳥時代にかけてのヤマト王権の首長の称号、あるいは倭国の君主号。

不安定ながらも天皇制を出発させた「大化の改新」以降、『日本書記』『古事記』などの伝承記録・神話が構成されて、過去にさかのぼって歴史が作られた。神武天皇即位紀元は西暦紀元前660年であり日付は2月11日である。

　私が韓国で日本語教師をしている間に、言語学の研究会によく顔を出した。古代国家成立以前には、例えば瀬戸内海沿岸には港が多数あり、中国系、韓国系、日本系などの港湾集落があり、異なる民族間では通訳を通じたり、中間言語(ピジン言語)などを用いて通商を行っていたという学説があったことを知った。つまり「日本」という社会は、後に国家となる「日本」は誰が作ったのかというと、縄文人の上に弥生人が重なり、さらに各種渡来人が現在の日本に入植してきて成立したと考えるのが自然である。西暦紀元前660年に神武天皇によって「日本という国家が作られた」ということは、歴史的事実として考えられず、西暦7世紀に日本が王朝政治を確立し始めて、不安定な中で「国」という形で歩み始めた「日本」が、周辺の国際情勢などもあり「巨大王朝中国に伍して力がある国である」という話を作る必要があったと考えるのが妥当である。

　同じような「国際情勢」によって、再度「国体・神道・天皇」が持ち出されたのは、江戸時代末期に欧米列強によって開国させられた日本が「強靭な国家造り」を急ぐ必要があったからである。1894年日清戦争、1904年日露戦争における勝利があり、台湾、KOREA半島の領有、第一次世界大戦での漁夫の利の勝利。南洋庁の国際連盟信託統治などの実質的領土拡大があり、日本はアジアにおける軍事大国となった。1029年世界恐慌により世界貿易額が半減する中、資源に乏しい日本は、より軍国主義化を進め、中国への侵略を本格化させた。資源植民地をほぼ持たない日本は、ドイツ・イタリアと共に「三国防共協定」を結び、共産圏であるソ連、資本主義国であるアメリカなどと対立した。結局米英との開戦となり、最後にはソ連も参戦して、日本は滅亡の憂き目に遭った。

　徳川幕府時代に、我々日本人庶民は苗字を持たなかった。戸籍というものはなく、日本固有の宗教神道の信者である「氏子」または仏教寺院の信者である「檀家」として登録される必要があった。キリスト教が禁止されていたので集落の並び立つ神社・寺院の信者として多くの日本庶民が信徒登録をした。これを「神仏習合」という。ところが「殺傷を禁じる仏教」は軍国主義拡大路線に合わない。そこで明治初期に「神仏分離」が行われて「神道」が日本の国家宗教となった。「天皇という現人神が支配する国」だから隆盛するし、戦争には負けないと社会全体が信じさせられるようになった。日本人のプライドは維持できたであろうが、拡大領土となった台湾・KOREA半島・南洋庁などでは「持ち込まれた神道・天皇・国体」は強要されたものであった。

　1945年11月9日。米国戦略爆撃調査団に近衛文麿元首相が尋問された。1931年以降軍部が独断で侵略を起こしたと近衛は説明する。米国側は「首相である近衛が政策の四季を執る立場であった」と詰め寄る。「形式上はともかく天皇に実験はなかった」と近衛が答える。「天皇も首相も単なる傀儡だったと言うのか？」と米国が更に詰め寄ると近衛は「YES」と答えるしかなかった。ドラマ「憲法はまだか」にあるシーンである。

こればかりではない。1945年8月14日に日本はポツダム宣言を受諾した。翌8月15日に事前録音された天皇の声での敗戦の広報の際に、軍部は録音されたレコードを奪おうと突入し、あわや原盤が軍部の手に落ちるところであった。軍部は敗戦を認めるくらいならば国民全員が戦死する方がましだと考え、日光に疎開中であった10歳の皇太子を天皇に立てて戦争を継続しようとした。つまり天皇の統帥権の下に軍部があったのではなく、日本の政治を軍部が支配し、天皇の統帥権を侵していたのである。

　歴史学的に見て、大陸の大国中国の隆盛があり、それを模した王朝国家を急ぎ造り始めたのが7世紀半ばであった。紀元前660年から「日本」という国家があった訳ではない。軍国主義は「天皇万歳」を強要し、植民地においても神道を強要し、皇居の方向への朝の礼拝を強要し、玉砕を強要した。神仏習合を壊し軍国主義にまい進した。それならば仏門に帰依した平安時代などの天皇・上皇・皇后などは「万世一系天皇制」への反逆者となってしまう。

�A ポツダム宣言とは何か

日本の歴史教育では「ポツダム宣言」を「無条件降伏」と同義に扱っている。しかし13条から成る「ポツダム宣言」は明確にファシズム政治・軍国主義政治からの脱却を求めている。宣言者が米国トルーマン大統領、英国アトリー首相、中華民国蒋介石総統の共同署名の形を取っているが、トルーマンが3人分の署名をしたと言われている。宣言の中に以下の記述がある。

―――�I 我々は、日本人が人種として奴隷にされたり、国家として破壊されることを意図するものではないが、我々の捕虜に残虐行為を行った者を含むすべての戦争犯罪者に対して、厳しい正義が下されるものとする。日本政府は、日本国民の民主主義的傾向の復活と強化に対するあらゆる障害を除去するものとする。言論、宗教、思想の自由と基本的人権の尊重は確立されなければならない。

�J 日本は、自国の経済を維持し、正当な現物賠償の執行を可能にするような産業を維持することは許されるが、戦争のために再武装することを可能にするような産業は許されない。この目的のために、原材料の管理とは区別して、原材料へのアクセスが許可されるものとします。最終的には日本の世界貿易関係への参加が許可されるものとする。

宣言者はいずれも西側諸国つまり資本主義・自由主義の側の国の代表者である。1945年に入り敗戦を覚悟し始めた日本政府であったが、「国体・神道・天皇」を盾に侵略戦争を開始した軍部には「国体の維持」が保証されなければ、戦争を継続し日本が全滅しても構わないという考えがあった。敗戦受け入れが遅れて、広島・長崎への原子爆弾の投下が行われ多数の非戦闘員が犠牲になった。その間にはソ連の対日参戦があった。1867年「王政復古」以来、琉球併合、アイヌ人支配、台湾支配、KOREA半島支配、南洋庁支配、中国大陸侵略などにより、日本は「国体・神道・天皇・軍国主義・植民地支配」のセットで動いてきた。もちろん「大正デモクラシー」など一時期少しは民主主義的な変化はあったが、基本的には「天皇の名のもとにアジアを支配する」理念を75年間も志向してしまったのである。

　ポツダム宣言は「日本の脱軍国主義化」を求めるものである。東アジアに侵略傾向の強い日本が従前通り存在するならば、東アジアの平和は実現しない。

　連合国軍の敗戦国日本支配と戦後処理の中で、東京裁判について語られることが多い。「戦勝国による敗戦国の裁きで公平性を欠く」という意見もある。しかし連合国軍つまり現在でも存在するUNによる戦後処理であることに変わりない。オーストラリア・ソ連はUN極東委員会において「天皇戦犯論」を主張する流れにあった。天皇に統帥権があり、その配下の国軍が侵略戦争を行ったのであるから、天皇に責任があると考えるのは当然である。しかしGHQも米国本国政府も天皇を戦犯から外した。これを「GHQ施政がはかどるからだ」とする論調ばかりである。私はその論調に疑問を持つ。「占領政策が順調に進む道具として天皇を残した」という面はあるかも知れないが、私は別の考え、つまり言語資料の解釈を考える。

　ポツダム宣言を受諾したのは天皇である。13項目の中で2項目だけ書き出したが「民主主義的傾向の復活と強化。言論、宗教、思想の自由の確立。基本的人権尊重の確立」そして「非軍事化・平和国家化」を受け入れたのは統帥権を持つ当時の天皇であった。つまりポツダム宣言の13項目の内容を受け入れ実現する最大兼の努力をする責任者は誰かというと、それが天皇であったのだ。天皇が従前の通り軍国主義者であり、侵略者であり、国内外で弾圧者であるならば、暴君として裁判にかけられるのは当為である。「戦争責任者の処罰」として、世界的にも分かりやすい。しかしそれでは「誰がポツダム宣言が求める平和国家・民主国家の変革実現の責任を負うのか？」という疑問に答えることができない。1045年9月に天皇はGHQ最高司令官マッカーサー元帥の元を訪ねた。天皇は「この間の戦争の全責任は自分にある。連合国諸国に自分の身を預ける」と言ったと言われている。国家元首たるものの当然の言辞である。自ら命を差し出しても国や社会や国民を守るのが本当の国家元首である。木戸幸一元内務大臣は戦犯として獄中の人となったが、重ねて天皇に退位を提言した。天皇一人が戦争責任を負わないことは公平さを欠くというのが木戸の考えのようだった。300万人を超える日本人が戦争で命を落とした。その犠牲の大きさを考えて木戸は獄中から提言したのであろう。しかしもっと厳しい道があった。「敗戦の惨劇を招いた天皇」「ポツダム宣言の内容を受け入れ日本の再生を非政治的な立場から力を尽くす」責任。「平和で文化的で産業が振興する日本をもう一度復活させることが慰霊になること」そして「国際協調の第一人者としての平和外交の努力をすること」などが、退位をして天皇を入れ替えることよりも、もっともっと重要な責務であったのだ。「戦争責任を取って退位した天皇」というレッテルを貼られることは皇室に取って良いことではない。そもそも天皇が内閣に対して、陸軍大臣と海軍大臣が反対しているのに「戦争をして相手に大きな打撃を与えるように」と考えて統帥権を発動することはできない。

�B 日本国憲法を言語資料としてどう読むか？

　大日本帝国憲法という欽定憲法成立により、日本は軍国主義へと進んだ。戦争となれば天皇の所有物たる臣民は国家の為、天皇の為に命を落とすことも厭わないように教育・社会が洗脳された。これに対して日本国憲法は、平和主義・国民主権・人権尊重という3つの理念を柱にした方向性が異なるものである。曰く「アメリカに押し付けられた憲法である」、または「敗戦史観に基づく自虐憲法である」とも言う。

　しかしある意味「戦後憲法」もまた天皇の憲法なのである。このことがきちんと理解されていない。明治維新以降75年強「国体・神道・天皇主権」に冒されてきた日本人に取って西洋型の国民主権・三権分立への変換は簡単なものではなかった。ドラマ「憲法はまだか」の象徴天皇・戦争放棄を何度も何度も私は見た。1946年昭和21年4月10日の衆議院議員選挙（第22回衆議院議員選挙）は「終戦解散・GHQ解散」の選挙と命名されている。それまでの満25歳以上男性に限られていた投票権も満20歳以上男女とされた。定員466(沖縄定員2は実施されず)。日本自由党140、日本進歩党94、日本社会党92、日本協同党14、日本共産党5、その他120という議席数となった。この総選挙は「大政翼賛会」体制が戦争を遂行し、言論の弾圧となったことを踏まえて、GHQにより決められたものである。戦後の日本の在り方を議論する日本の国会を形成することが目的であった。日本進歩党は選挙前議席270議席から94議席へと176議席も減らした。日本自由党と日本社会党は大躍進を果たした。

　UNの極東委員会が開催され、オーストラリア・ソ連から「天皇を戦犯として裁くべきである」という見解が出され、米国議会も全会一致で天皇に戦争責任があることを決議していた。UN極東委員会はUN内の組織であり、GHQより上に位置する。つまりGHQ施政指導下の「憲法改正」の方向性がUN極東委員会に受け入れられなければ、UNからの直接圧力によって「天皇制廃止・非軍事化・民主化・経済民主化」などが強要される事態の中で、日本の議会自身が「憲法改正を議論する」という流れになった。

　当初GHQは近衛文麿に憲法改正草案の作成を働きかけたが、中国侵略時の首相であったことから「GHQは正式に依頼していない」と態度を変えた。日本政府は松本丞二国務大臣を憲法担当大臣に据え「松本案」を作成するが、到底UN極東委員会が受け入れられるものではなかった。昭和20年敗戦後から言論統制は解除されていて、民間からの多くの憲法に対する議論が行われ、上述の「憲法研究会」の憲法案が公表され、日本政府・GHQにも持ち込まれた。日本政府は松本丞二大臣を担当に既存の学者などの力を借りて憲法改正案を作成している最中であったので、「憲法研究会」の案を無視した。GHQはUN極東委員会からの圧力があれば、天皇戦犯決定・天皇制廃止の危険性があると考え、憲法研究会の草案などを参考にして、1946年2月初旬からわずか一週間で英語の憲法案を作成し、吉田茂外相・松本丈宇憲法担当大臣に直接渡した。当然日本政府はこれを拒もうとしたが、日本政府がGHQ憲法案を拒否した場合、マッカーサーの名で日本社会・世界に公表するという圧力がかかり、日本政府はGHQ憲法案を受け入れた。昭和21年4月総選挙で形成された議会により討議が行われて、いくつかの点で修正が行わた。その都度UN極東委員会に報告をされて、強い指導意見がGHQに伝えられた。代表的なものが「戦争の放棄」の規定に「文民統制」が加えられたことが挙げられる。普通義務教育も当初小学校6年間であったが、日本議会の憲法委員会での討議を経て小学校・中学校の9年間に延長された。GHQ憲法案では国会は一院制であった。国民の選挙を経ず天皇によって指名されてきた貴族院は身分制に基づくものであるから廃止されるものとされたが、国会の議論を経て参議院となり国民の投票で議員が選ばれる制度に変更された。

　日本語で「international union」と誤訳され「KOKUSAI-RENGOU」と発音されるUNは戦勝国の集団であり、日本が国際社会に復帰する為には、どうしても「非軍国主義化・民主化」などが必要であった。明治維新以来の「国体・神道・天皇」一体化の軍国主義の清算こそがその助走となるという構造であった。日本政府内では75年以上に及ぶ「軍国主義・植民地主義」の払拭が困難であり、日本国内の明治時代の民間憲法草案などの蓄積、欧米留学者たちからの知識などを踏まえた「憲法研究会」の憲法案の骨子をGHQが憲法案として援用したものである。決してGHQが一方的に押し付けたものではない。

　『20210722「独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた 平成編〜」BS1スペシャル』において、渡辺恒雄(2024年他界)は「アメリカに押し付けられた日本語としておかしい憲法」と述べた。しかし上述のように「憲法研究会」からは読売新聞社長兼主筆を1名、読売新聞主筆を1名、2名の主筆者を輩出しているのである。

　1950年6月25日の「KOREA戦争」勃発により、日本は西側陣営に強力に組み込まれて、UN派遣軍の後方支援基地化した。米国政府は「日本再軍備」を強く求めたが、吉田茂首相は応じなかった。日本の民主化指導も方向性が変更されて「反共の砦」とされた。つまり1946年11月3日公布、1947年5月3日施行の「日本国憲法」は、その平和主義が理想主義に過ぎないと批判を浴びることになった。「アメリカに押し付けられた憲法である」とか「英文憲法案を翻訳したもので日本語として美しくない」とか「自虐史観の憲法である」というのが根拠である。そして憲法と言えば「第9条戦争の放棄」と自衛隊の関係、集団的自衛権・国際貢献の関係が議論の訴状に登る。また「第99条最高法規」の解釈があまりに偏ったものとなってきた。この問題について私の意見を表明したい。

―――第十章「最高法規」第97〜99条。

　　　第99条　天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

　この条文の読み間違いが非常に多い。日本の有名な文化人で数多くの歌を作詞し、ラジオパーソナリティを長年務めた永六輔（故人）は担当するラジオ番組で第99条を記憶している中で読み上げた。その後で「だから憲法は変えてはならないのです」とコメントを述べた。実は日本国憲法第十章のすぐ上に第九章には「改正」条文がある。

―――第九章　改正　〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕

第九十六条　この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

２　憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

なぜ、直前に改正の規定があるのにも関わらず、「最高法規規定が憲法の変更を禁止している」と読む人々が多いのだろうか？もちろん国民が巻き込まれて多くの死者を出し、財産を失った悲惨な戦争体験をした世代の立場からすれば「平和主義」つまり「あの時代に戻るような軍事化は認められない」という考えがあることは理解できる。敗戦に至るまでの15年間の中国侵略以降の戦時体制はもちろん「2度と起こしたくない」という強い思いがあることは理解できる。しかし「日本国憲法」は言語資料であり、言語として正しく理解しなければならない。

　憲法擁護運動が隆盛した時に、小学館という日本の出版社から「日本国憲法」という書籍が出版されて大変多く売れた。美しい写真が間に入れられている。巻末には参考資料として「大日本帝国憲法」つまり明治時代の「国体・神道・天皇」の軍国主義を支えた憲法の条文の添えられている。

　ところが「上諭(JOUYU)」という「帝国議会」の憲法改正手続きに基づく天皇の名で表明された文章を正しく読んでいる立場に出会ったことがない。GHQ施政下にある占領下の日本であったが、あくまで既存の憲法の範囲で新しい憲法を制定する「合法的」な憲法改正が行われた。ポツダム宣言を受諾したのは天皇であり、非軍事化・民主化・国際協調を受け入れたのが天皇であった。GHQが天皇制の存続に動いたのは「占領政策が円滑に進む」からというだけではなく、天皇が国家元首として特に15年に及ぶ中国侵略とその後の世界大戦への軍拡主義に多大なる反省の気持ちを持っていたことをマッカーサーが理解したからである。

　さてこの「上諭」であるが、明治憲法では憲法の改正は天皇が発議して、国会がこれを承認するという体系となっていた。これに従ったということが明記されているのが、日本国憲法の一番初めて登場する「上諭」なのである。

―――朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

御名 御璽　昭和２１年１１月３日

つまり原稿の「日本国憲法」は戦後続いていた帝国議会の議決を経て「明治憲法」が改正されたものである。革命が起きて「天皇制」が廃止されて「共和制」になった訳ではない。つまり「日本国憲法第十章最高法規」の第99条に書かれていることは、以下のように読まなければならない。

―――�@天皇又は国民主権を無視して首相を直接使命できない。政治的職能を持たない。

�A国務大臣、国会議員は国民主権国家において国民への奉仕者である。

�B裁判官その他の公務員は天皇へ奉仕するものでなく、国民へ奉仕する。

と書かれているのに過ぎない。簡単に説明すると「古いOS」が「新しいOS」に切り替わったようなものである。職場で最新のOSのコンピュータを使用しているのに、危険性を冒して古いパソコンを使用するのを会社が禁止するようなものである。この条文を最優先に取り上げて「憲法を変えてはならない」ということは憲法理解に欠ける思考である。昨年5月「憲法記念日」に近い日曜日に法政大学元総長の女性江戸文学研究者がコメンテータとして登場して、いきなり第99条を述べた。その条文を丸暗記していたようだった。日本のリベラリズムが「憲法第99条」「憲法第9条」ばかりが、バランスを欠いて議論になることは、憲法全体の理解に良くない影響を生むと私は思う。私が小学生・中学生の時の学校の教科書には「自衛隊に憲法違反の地方裁判所判決が出る」という記載があった。戦後日本は軍国主義への反省から「戦争の放棄」と「再軍備の禁止」を定めた。その後の東西冷戦・KOREA戦争の勃発により、西側世界の一員に否応なしに日本は組み込まれた。「日本は侵略戦争に突き進み、国際社会から排除されて連合国に占領された。「東西対立のどちらにも付かず非武装中立の立場を取る」という大原則はKOREA戦争で変化した。そして「自衛隊が憲法に合うのか憲法違反なのか」の議論は、日本がUNに参加し国際社会に復帰したことで「UN憲章」にある「個別的自衛権・集団的自衛権」が自動的に認められることとなった。間違えないでほしいのが「集団的自衛権」は「軍備拡張」を意味しない。小さい国が軍備を持たず、防衛を親しい国に委託することがある。これは「非軍備・集団自衛」である。「自衛の為の防衛戦争である」と15年間中国始めアジア諸国を侵略した戦前の日本。これと同じことを現代の平和主義国日本が行うべきではない。「台湾有事」がもし軍事的に発生したとしても、原則中国の国内問題であり、台湾政府の民主主義を北京政府が軍事的に弾圧して良いかどうかの議論は必要であるが、米国と中国の戦争にならないように国際社会で日本は発言を強くするべきである。「西側型民主主義だけが許された国家形態である」という考え方はUNの理念に反する。

3000万人の戦争死者を出したソ連・中国が連合国側の勝利に大きな犠牲を払ったのであるから、当然その発言権は尊重されなければならない。戦後多くの植民地が独立を果たしたが、その支援に動いたのはソ連・中国であった。「反共・防共」をスローガンに、フィリピンでも台湾でも韓国でも東南アジア諸国でも軍事独裁政治が続いたことがある。「西側に位置したから民主主義国である」という詭弁は認められない。私は再度述べよう。

―――東京裁判で東條英機が「自衛の為の防衛戦争であった」と述べたことは最悪だった。

もし「台湾有事」が発生し、米国・日本が中国軍を攻撃し、中国側に被害が出た場合に、中国は「防衛の為の自衛戦争行為」として、在日米軍基地・自衛隊基地を攻撃することができる。ウクライナとロシアの戦争も、第二次世界大戦で最大の犠牲を生んだ旧ソ連が、ウクライナのNATO加盟志向の中で「自衛の為の防衛戦争」として、NATOがロシアに隣接しないように発動した戦争行為であると考えることができる。米国バイデン政権はこのことを理解できなかった。現トランプ政権は「ウクライナのNATO加盟を認めない」立場で戦争終結への働きかけを始めている。キューバにソ連の核弾頭が持ち込まれた時に、ケネディとフルシチョフが世界核戦争の危機を解決した。この事態とウクライナNATO加盟問題は、本質的に同じである。私の立場は、ロシアがウクライナを軍事的に攻撃して一般市民までも多数の死者が出ていることを擁護するものではないが、NATOの東への無条件の拡大が、果たして欧州に安定を生むのか、真剣に議論されるべきである。旧ソ連、現ロシアからすれば、ナチスのファシズム軍事侵略により多大な被害を受けた以上、ドイツという国家が継続すること自体に嫌悪感があることも事実である。これは15年の侵略を受けた中国が日本をどう見るかということとも関係している。

�C パレスチナ問題

　ユダヤ教徒。民族的には同一ではない可能性もある。紀元前586年に新バビロニアによってパレスチナの地から追放されたユダヤ教徒。世界に分散して居住した。社会情勢が悪化すると度々弾圧・虐殺の対象となった。国家を持たない異教徒である為である。強い一神教と選民思想。実は「共産主義思想」の生みの親であるカール・マルクスもドイツ系ユダヤ教徒であった。

　パレスチナ人は紀元前6世紀にユダヤ教徒が追放された後にその地に2500年以上にわたって居住した定住民族である。イエス・キリストもパレスチナ人である。しかしその地にキリスト教と同じ神を信仰しながらも、アッラーの神を讃えるイスラム教が広がった。7世紀からのことである。およそ1400年の間、現在のアラブの地域の人々が信仰してきた宗教である。大きく2つの宗派がある。そして戦争行為も辞さない多くのイスラム教団体がある。ハマスもその1つである。

　第一次世界大戦時に、英国はユダヤ教徒の資金力を必要とし、アラブの軍事力も必要とした。オスマントルコ帝国を敗北させる為にうその約束を連発した。ユダヤにもアラブにも戦後の国家樹立を約束し、英国と連動してトルコ攻撃を行わせた。第一次世界大戦終結後にフランスはダマスカスを空爆し廃墟にした。トルコが失った領土を英国・仏国で分け合う裏取引があったからである。英国もフランスもアラブ各民族の独立を認めようとしなかった。ナチスドイツのホロコーストにより、優先的に「イスラエル」が建国され、即日第一次中東戦争が勃発した。

　1948年5月に「イスラエル」が建国された。もちろんナチスドイツによる600万人の大量虐殺という惨劇があり、世界の金融資本の中で重要な地位を占めるユダヤ教徒への再度の迫害がないようにとUNが先行して建国を認めたのである。もちろんその地にはパレスチナ人が居住していた。宗教もイスラム教であり相容れない。昨今のパレスチナ紛争の原因の一義は英国にある。ユダヤ教徒には建国を約束して戦費を捻出させた。アラブにも建国を約束して戦争に参加させてオスマントルコ帝国を敗北させた。フランスにも責任があるだろう。パレスチナ人の子ども女性までも含めた死者数の多さ。飢餓の蔓延。これではまるでナチスドイツ下のワルシャワゲットーと同じである。簡単ではないだろうが、平和的解決を強く望む。

�D 地方の再生。空き家問題と若者人口増加案について

　私は、東京都中野区出身者である。しかし現在出身地に家はない。老朽化が激しく維持もできないので父母の他界の後で親族と分割相続をした上で、売却した。その代わりに、福島県猪苗代町、静岡県伊豆半島伊豆市旧修善寺町、群馬県草津町草津温泉エリア、滋賀県犬上郡豊郷町に家を持っている。福島県と滋賀県の物件は土地の役場から公売で購入したものであり、壊れた家を安価で入手したものである。福島県の家と土地は13万5千円で入手した。滋賀県の家と土地は69万9千円で入手した。福島県の家の固定資産税は年間13,000円程度、滋賀県の家の固定資産税は年間2万7千円程度であり、両方の家は水道契約もガス契約もしていない。壊れた家を購入したからである。電気だけは契約をしている。　温泉や風呂はどうしているのかと言うと、豊郷町の隣接自治体が運営をする250円の温泉ではない浴場がある。ここに何度も通ううちに地元住民の皆さんと歓談するようになった。ある日浴場で年配者がこんなことを私に言った。「親戚の叔父が他界して家が残った。叔父の子どもたちは都会に家を持っていて、誰も必要としない。甲良町の空き家バンクに出しているのだが、とても立派な家で価格も300万円と安価なのに、誰も買ってくれない。あなたは隣り町に古い家を買ったそうだが、どうずれば良いと思うか？」と。実は静岡県伊豆半島でも福島県耶麻郡でも滋賀県犬上郡でも群馬県吾妻郡でも空き家が急増している。固定資産税が安いの子の代には所有されていることもあるが、孫やその下の代になると、必要がなくなったり、そもそも相続人が居ないなどの理由で放置される。相続人が居なければ町村役場の税務課が差し押さえる。そうなると役場に固定資産税は入らない。役場は古い土地家屋の管理責任を負う。解体するにも300万円とかの解体費用が必要となる。更地にしたところで空地だらけなので解体費用を大きく下回る。それでも土地が売れない。

　本日も午前の報道番組で「少子高齢化」の問題を扱っていた。日本は今後も人口減少社会が進行する。人口減少と共に高齢化社会が進む。労働人口も1000万人以上不足する。

　片や、本年2025年にはインバウンド観光客が年間4000万人に達するという予測がある。5年後には6000万人の来日観光客が予測されている。京都市では「韓国公害」とも言われている。インバウンド観光客は観光地を訪れるたびに、おみやげを購入したり、食事をしたり、宿泊したり、タクシーや公共交通機関を利用して消費をしてくれている。感謝でいっぱいである。ところが行く観光地ごとに荷物が増える。両手でトランクを引っ張り、肩にはカバンをかけていたりする。この状態で京都市営バスを利用するのだから、バスが混雑して、地元民が乗車できない事態も発生している。私は6年前から3年前まで10回以上京都市の二条城の来た下西陣にある京町家様式のゲストハウスに泊まった。観光地を自分で体験したかったからである。永六輔の歌「女ひとり」の土地3寺を訪れたり、川端康成『古都』の舞台を訪ねたりした。私は信州善光寺の信徒であり、大本願という浄土宗の信者である。この宗派の総本山が京都市にある知恩院という寺院である。この寺も何度か参拝した。円山公園を通り、北野天満宮を通り、街中に戻ると、すぐ近くが有名な観光地である祇園である。COVID19感染拡大前には大混雑をしていた。浴衣という簡易な日本のキモノを来た人々が多く歩く。その8割から9割が日本語を話していない外国人観光客であった。COVID19感染期間にも知恩院参拝で京都市のゲストハウスに宿泊したことがある。祇園の通りを歩いていたのは私を含めて5人であった。東京の銀座全体で5人しか歩いていなかったら異常である。そのような困難な時期もあった。だから現在、京都市に多くの外国人観光客が訪れてくれることには感謝の気持ちが大きい。しかし日本人が1泊とか2泊とかで簡易な国内旅行をする場合とは異なり、インバウンド観光客は巨大な荷物を持ったまま市内を移動する。交通は渋滞し、観光地は大混雑する。桜の花見の季節には有名な寺の夜のライトアップに300mの行列ができて、境内は大混雑であった。2021年にオリンピックとパラリンピックを開催した日本。これでは車椅子利用者や杖利用者が安心して、夜の桜のライトアップの花見を観光することができない。

　ではどうすれば良いのか？もっと身軽な荷物と服装などで京都とか大阪とか神戸とか東京とか箱根とかを観光してもられば良い。その為の基地があれば良いのだ。それを京都市内に求めることは困難である。

　滋賀県犬上郡には空き家が多数ある。それをリフォームしたりリノベーションしてしまえば価格が高くなる。日本という外国に別荘を持ち、それを自分たち家族や仲間で修繕し、自分たちらしい家に改造したら楽しいだろう。例えば祖母が中国の少数民族の刺繍の名人で50箱もの作品が大都市の自宅にあるとしよう。上述のようにマンション価格が非常に高いのが大都会である。ならばそれらの遺品を船便で日本に送り、先祖の部屋を作れば良い。アメリカ人の場合、祖父がカウボーイだったが遺品が多数あるとしよう。ならばおじいさんの記念室を日本の郊外の家で作り、親族や友人知人で交代に泊まって利用すれば良い。

　更にその子の代や孫の代には、是非日本の地方大学に留学生として在籍してもらいたい。ユニセフは中国と韓国に対して「大学などの受験競争が厳しすぎて子どもの人格形成に悪影響を及ぼす」と何度も改善を警告している。私も日本国内外の日本語教育機関で日本語教師をしてきたの分かるのだが、台湾を含めて受験競争が厳しく、それに敗北すると「人生の敗者」となってしまう。18歳の時の受験能力という人間の一面だけで人生が決まることに私は同意しない。「私の子どもは」とか「私の孫は」という年配者が「どうものんびりした性格で受験の激しい競争と合わないようだ」という場合に、是非、日本の地方に家を得て、地方にある大学に留学生として進学し、卒業したら、その地方の企業に就職して正式な労働ビザを持って日本のファンとして居住してもらいたいと願っている。そこで縁があって日本人と家庭を持っても良いし、同じ民族の留学生仲間と日本で家庭を持っても良いと思う。もちろん日本の大都会にある名門大学を目指す若者も居て良い。ただし高い家賃負担があり、混雑した大都会であり、直下型地震などがあれば被害に遭う危険性もある。

　私の家がある滋賀県犬上郡。戦国武将藤堂高虎の生誕地がある。日光東照宮陽明門を作った宮大工甲良豊後守宗廣の記念館がある。伊藤忠・丸紅などの創業者伊藤忠兵衛の実家があり記念館・研修所となっている。西武グループを創業し、日本国会の衆議院議長まで務めた堤康次郎の実家もある。多賀大社という古代日本の朝廷が認証した神社もある。三重県の伊勢神宮に祀られている神の両親を祀る神社である。旧中山道も古いまま残っている場所が多い。米原市になるが番場宿という宿場は戯曲「瞼の母」の舞台であり、この宿場町も古い状態がよく残っている。鎌刃城という山の稜線に築かれた戦国時代よりも遥かに古い時代からあった城について学ぶこともできる。彦根市の彦根城は日本に5か所しかない国宝天守閣の城である。1600年に関ヶ原合戦が近くの岐阜県関ケ原町で戦われたが、その3年後に江戸徳川幕府が開かれた。徳川家康の家臣の井伊直正が活躍し、彦根を与えられて、敗北した石田三成の佐和山城を解体し、反徳川だった京都の寺院を解体し、再生資材を多く利用して築城されたのが彦根城である。水田や麦畑も多く、近江平野の向こうには北西に日本最大の湖水である琵琶湖がある。南には鈴鹿山地がある。湧水が豊富で、水路には錦鯉が泳いでいたりする。空気が澄み、水が豊かで新鮮で、近江米がおいしく、黒毛和牛近江牛は日本の名門牛肉ブランドである。300万円などで郊外に家を買えば、親戚知人友人が訪れた時に、庭で近江牛のBBQができる。鉄道は近江鉄道という地方私鉄がある。西武HDに属している。ただし西武HDの株主乗車券が利用できない。伊豆箱根鉄道も西武HDの株主乗車券を利用できない。この単線鉄道は2両編成などであり、のどかに近江伝統住宅が多くある沿線を走る。私が乗車した時には乗客は私を含めて2名であった。日野町にも近江商人記念館があり、有名な武将蒲生氏郷の出身地である。戦国時代に大活躍をして、福島県会津若松市の会津城の領主となった武将である。近江鉄道の終点貴生川駅ではJR関西本線・私鉄信楽高原鐡道に乗り換えることができる。信楽は陶器の有名な産地であり、ザラザラとした肌触りの焼き物が特性である。陶芸教室も数多く開催されている。狸の大きな置物は「商売繁盛」の象徴であり、日本全国の会社・店・個人宅に置かれている。「たぬき」という音声が「た」つまり他人を「ぬき」つまり抜くという語呂合わせになっている縁起物である。数年前にはNHK朝の連続テレビ小説で信楽を舞台に番組が作られた。信楽には朝宮という日本茶の名産地があり、すぐ近くの京都府宇治市と並び高級緑茶の産地である。1980年本能寺の変で織田信長が暗殺された際に、大阪府堺市に居た徳川家康は信楽を通り、伊勢に抜け、船で領地の岡崎城に戻っている。命がけの逃避行であった。その行程が信楽の郊外に残っている。日本の戦国時代・安土桃山時代に関心がある外国人には是非確認してもらいたい土地である。

　外国人観光客の子や孫が滋賀県犬上郡近辺の大学に留学生として日本に4年間または語学研修の期間を含めて5年以上滞在して、その生活基盤の地として郊外の家を購入してもらえれば、これに勝る喜びはない。

　ただし日本の制度にこの実現を拒む要因がある。インバウンド観光客は観光地でクレジットカードで決済することが多い。私が住む群馬県草津温泉でも何人かの外国人観光客と歓談したことがある。私が会員をしているホテルのロビー・温泉施設・サウナを同行者無料で利用してもらい、プールも見学してもらった。その返礼として中国人のアニメのクリエイターが返礼として、私に軽食と飲み物を御馳走してくれた。その際に中国人はクレジットカードで支払った。宿泊費も飲食代もお土産代金も多くがクレジットカードで支払うのがインバウンド観光客の特長である。多額の現金を持ち歩くことは紛失や盗難を考えると危険である。

　私も4週間の短いプログラムであったがアメリカサンディエゴの大学別科で英語の授業を受けたことがある。1987年のことである。現金をそのまま持ち歩くことは危険であったので、サンディエゴ市街地のシティバンクの支店に行き事情を説明したところ、すぐに口座を作ってくれた。もちろんパスポートと在学する大学の証明書と入国スタンプを見せて身分証明をした上でのことである。

　ところが、日本国内では92日以上の「外国人登録証明書」を持つ長期滞在者であり審査に通った者にしか金融口座を開設しない。インバウンド観光ではクレジットカードを使える。だが、日本の郊外の古屋を購入した場合に、各種支払いができない。ガス水道下水道電気の公共料金も、固定資産税もクレジットカードで決済できないのである。その理由は引き落とす側が引き落とし手数料を負担するルールだからである。半面金融口座からガス水道下水道電気などの公共料金と固定資産税は金融口座から引き落とす場合には、ガス会社・上下水道局・電気会社、市町村役場から手数料を負担させないということになっている。これでは日本文化ファン、畳部屋ファン、地方固有住宅様式ファンの外国人観光客は日本の古屋を購入することができない。このことを解決してほしいと、私は東京都内に用事があった2024年8月5日に国会議員会館に要望書を持参し、いくつかの国会議員の事務所を訪れた。福島県会津地方では小熊慎司・菅家一郎、静岡県伊豆地方では渡辺周・勝俣孝明、滋賀県犬上郡では上野賢一郎の各衆議院議員、静岡県浜松市に地元事務所を持つ片山さつき参議院議員の国会事務所を訪れて私は頭をさげて要望書をお渡しした。

　2024年10月の総選挙によって、自民党・公明党の政権政党は過半数を下回った。それぞれの案件で個別野党と交渉する必要が生じ、野党側も与党攻撃を強めて与党の参議院での議席を減らそうとなって、それに集中している。私のような一般庶民の要望はなかなか国会議員とその秘書たちに動いてもらえるものではない。しかし長年、国会議員会館事務所に陳情を続けている。私の感想を述べると2020年8月の総選挙で野党民主党が圧勝し、9月初に政権交代が起こったが、それ以降政権交代はなく自民党・公明党が安定多数を維持してきた。与党の過半数割れは実に14年間なかった事態である。

�E 天皇と国民の関係

　日本国憲法という日本の骨格をどう読み解き、どう生かすべきなのか、そして国際協調をどのように実現するべきなのか、を私は述べたい。箇条書きにしたい。

―――�@現行日本国憲法は明治憲法の改正規定に則り、民間研究者の見解を生かしてGHQが提案したものを、22回衆議院議員選挙という満20歳男女に選挙権がある形で、憲法理解の前提として、衆議院議員が選び直された。戦時中の大政翼賛会与党の国会では「国会も戦争責任の一旦を負う」以上、新しい憲法への承認に矛盾が発生することになっていた。

―――�A天皇（送り名は「昭和天皇」）はポツダム宣言を受託した主体であった。宣言に記された「非軍事化・民主化」を受諾した以上、戦後の日本の民主化をGHQに強力して進める責任があった。

―――�Bオーストラリア・ソ連による「天皇訴追」「天皇制廃止」の要望は戦争被害を受けた連合国軍においては自然な見解であった。UN極東委員会が日本政府の憲法改正内容に疑義があれば、極東委員会が戦後日本民主化・非軍国主義化に強い指導力を発揮する権限を有していた。それを間に入って調整したのがマッカーサーである。

―――�C1946年2月からの「天皇全国行幸」において、石を投げたり暴言を浴びせるようなことはなかった。軍部が暴走して戦争を遂行し、天皇や首相さえも知らない中で戦線を拡大していったことは、日本国民は戦後になり気付いていた。

―――�D開戦の詔勅は天皇の名で出されていたが、天皇が「戦争をしろ」と命じた訳ではない。東條英機内閣が開戦を決定したことを、後から承認することしかできない法体系であった。

―――�E韓国延世大学語学別科で数年日本語教師をした経験が私にはある。1950年6月25日に北KOREA は南KOREA に侵攻し半島全体の共産化を狙った。前年1949年10月1日には北京に中華人民共和国が成立し、大陸中国は共産党政権となり、国民党政権は台湾に逃れた。東西冷戦が激化し、それぞれの陣営の集団化が進んだ。NATOとコメコンである。ドイツは東西に分裂し、ベルリンは連合軍共同統治となった。植民地各地の独立運動が勃興する中で、ソ連のスターリンはKOREA半島の共産化を狙って北KOREA に軍備を提供して、南部への侵攻を支持した。個々の紛争地域で同じような東西の代理戦争が発生した。ベトナム戦争もその一環である。米ソという二大体制のボスが「世界が共産化される危険性がある」とか「世界が反革命勢力に支配される危険性がある」と対立した時代である。私が居住していた時にKOREA 戦争の激しさを多くの年配者から聞いた。「中国人兵士は運動神経が良くて早く動いてどこからでも銃を撃ってきた」とある老人は私に語った。よく調べてみると中国義勇兵が投入されて戦線が南下した際に、ソウルは再び共産軍に支配されたのである。それを必死に取り戻したのがUN派遣軍であった。KOREA 半島の人々の6人に1人が戦争で命を落とした。北KOREA は米国の空襲を受けて全土が焦土と化した。平壌は3軒を残して住居がすべて破壊された。日本統治時代の精密機器製造工場群も空襲によって破壊された。それまでは北KOREA は世界有数の精密機械工業地帯であったのだ。そしてソ連がKOREA 半島全体を共産化しようとしたのには別の理由がある。AIによる記述であるが「ソ連の対日参戦決定の会議は、1945年2月4日から11日にかけてヤルタで開かれたヤルタ会談です。この会談で、イギリス、ソ連、アメリカの首脳はソ連の対日参戦を秘密裏に決定しました」とある。ナチスドイツとの戦争で2700万人もの戦死者を出したソ連が、ドイツ降伏後に更にアジアでの戦争に参戦することは、ソ連国民の命を考えれば躊躇もあったであろう。スターリンがルーズベルトの要請を受諾したのは、東アジアにおける共産主義の影響力の強化の目的もあっただろうし、中国東北部の日本権益をソ連が引き継ぐという密約もされている。さらに日本の敗戦後対応の分割案もあった。北海道・東北はソ連が担当、九州と中国地方は英国が担当、四国は中華民国が担当し、東京は4か国共同担当とし、中国地方と東北地方を除く本州はアメリカが担当することとなっていた。しかしこれが広島・長崎への原爆投下による日本の敗戦によって、白紙に戻された。ソ連からすれば第二次世界大戦全体で3000万人または学説によると4000万人の戦死者を出した以上、枢軸国側の日本の北海道・東北の戦後処理統治くらいは担当し、共産化することくらいは、認められて当然だという考えがあった。それらの不凍港の支配と軍港化が認められると考えていたソ連のスターリンに取っては「KOREA 半島全体を支配したい」という代替案は当然のことであった。

―――�Eポツダム宣言の第12項目は「連合国の占領軍は、これらの目的が達成され、日本国民の自由に表明された意思に従って、平和的傾向を有する責任ある政府が樹立され次第、日本から撤退するものとする」とある。原文は「The occupying forces of the Allies shall be withdrawn from Japan as soon as these objectives have been accomplished and there has been established in accordance with the freely expressed will of the Japanese people a peacefully inclined and responsible government.」である。�B1951年9月のサンフランシスコ講和条約(ソ連など3か国が署名拒否)の締結4時間後に、吉田茂首相は「占領軍の中でアメリカ軍が独立した日本との外交条約によって在日米軍基地に引き続き駐留する」という日米安全保障条約に単独で署名した。事前の国会承認は得ず、秘密裡に進められていた。「非軍事化・平和主義」に生まれ変わり平和憲法を持つ日本人からは、この「継続して米軍が日本に駐留する」ことは理解できなかったであろう。この軍事条約の1年2か月前には「KOREA 戦争」が勃発していて、前年年末には中国義勇兵が参戦していた。なぜ「KOREA 戦争」が発生してしまったのか？スターリンの思惑があったことは確かであるが、南北共に戦後処理をし、南北にそれぞれ国家が樹立されて、表向き占領軍が引き上げた「軍事的空白エリア」になっていたのである。米国はまさかソ連と中国が北KOREAを支援して北KOREA が南部に侵攻して、半島全体を共産化しようと狙っていたとは思ってもいなかった。

1952年4月に日本の再独立が実現した時に、占領軍（進駐軍）が、ポツダム宣言第12項に従って撤退していたら、日本は北海道からソ連に侵攻を受けた危険性が非常に高かった。なぜならば、それも考えてソ連はサンフランシスコ講和条約の署名を拒否して、日本との戦争状態を継続させたと考えることが可能だからである。1945年米国軍艦ミズリー号船上で日本は連合国群に正式に降伏をし、署名をした。その相手にはソ連が含まれていた。降伏文書署名の数日後までソ連と日本軍の戦争は継続していた。ソ連とナチスドイツとの戦争での被害がそれほど大きかったソ連が、その被害に合うだけの見返りを欲したことは当然のことである。しかしUN派遣軍決定のUN総会で、ソ連は拒否権を発動せず欠席した。5大常任理事国の中で当時唯一の共産主義国家であり、拒否権を発動すると世界を敵に回す危険性があった。また極東アジアにアメリカが関心を示している間に、スターリンは東欧共産主義政権の勢力拡大と安定に動いた。各国の指導者たちを集めて「欧州で東側勢力を強くする良い機会である」と演説している。「KOREA 戦争」において、アメリカ本国は日本の再軍備を求めたが、マッカーサーも吉田茂も応じなかった。旧軍人たちが魚雷撤去の掃海艇に動員されて多数の死者を出した。日本政府では秘密の事案とされた。ただ私が言いたいのは日本の掃海艇は魚雷撤去の業務はしたけれども、北KOREA軍、中国義勇兵に銃弾を撃つことは絶対にしていない。

―――�F「日本国憲法」は「憲法研究会」の高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩淵辰雄、室伏高信、鈴木安蔵によって1945年12月に作成されて、日本政府とGHQに提出されて、新聞でも報じられた。GHQは民間も含めた各種憲法改正に対する要望を集めていた。1946年2月初旬の毎日新聞が政府の松本試案の概要を報じると、その保守性(戦前の体制をほぼ守るという意味で保守)に驚いたGHQはアメリカ本国に電報で伝えた。「民主主義・平和主義・男女同権などの民主化が実を結ばなければアメリカの間接統治は失敗した」とUN極東委員会から、アメリカが糾弾される。急ぎマッカーサーがGHQ民生局に1週間で憲法草案を英文で作成した。「国体・神道・天皇・軍事力」を背景に75年間国家を運営してきた既存の政治家からは「民主主義を認めたら共産化される」と怯えていた。ドイツの欽定憲法をモデルに明治憲法を制定した日本には、国民主権の議会制民主主義政治は理解できなかった。天皇の神格化を続けようとした。それはGHQ極東委員会における「天皇戦犯論」「米国議会における天皇を裁判にかける決議」と正面衝突することになる。幣原喜重郎首相はマッカーサーからの説明を受けて、高野たちの憲法研究会を理念の母体とするマッカーサーの英語草案を受け入れた。

―――�Gでは存続された戦後天皇制は何を意味するのであろうか？「日本国憲法」という言語資料を丁寧に読み解く必要がある。「上諭」という天皇の言葉により明治憲法の改正手続きに則り、ポツダム宣言の10項11項を明文化する形で内容が刷新された。敗戦時の木戸幸一内務大臣は、戦犯として獄中にあった間、継続して日本が独立を回復した暁には退位をして、責任を取るようにと提言した。私は木戸の気持ちは理解できるが、戦後象徴天皇には大きな仕事が残されていた。それは国賓として来日した各国の指導者たちを「国際親善」の理念で迎えて、歓迎して歓談をすることであった。どのような国家元首や首相が来日しようともそれに政治的に絶対に介入しないという清廉な立場を守り続けた。天皇が歓迎するということは「国民の統合の象徴」であるから、日本人全体が歓迎して迎えるという意味を持つ。前回の米国トランプ大統領がドイツメルケル首相と握手さえしなかったが、日本においてそのようなことは起こりえない。それが象徴天皇制の大きな意義の１つである。

―――�H天皇は国事行為を行う。例えば国会両院で首班指名が行われて首相が選ばれたとしても、その段階ではまだ首相ではない。皇居における「認証式」を経て、証書が公布されて初めて首相となる。各法令も国会を通過しただけでは法令とならない。天皇が報告を受けて「御名御璽」の印を押して初めて法令としての効力を持つ。これが都道府県知事や市区町村長や各自治体議員の「当選証書」とは異なる。国事行為を経て天皇に認証されるということは「第一条　天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とあることを勘案すれば「勝者の与党として当選を認める」というようなものではなく、「与党だけで暴走することなく野党などの意見もよく聞き、よく議論し、その議論を国民に知らせ、円滑に国民全体の利益を考えて国政を運営すること」という意義はある。そして衆議院のホームページの「日本国憲法」の第一章天皇の第一条には以下の副題が付されている。条文の前にあることに意味がある。「天皇の地位と主権在民」と。日本弁護士連合会の憲法全文ファイルでは副題は「天皇の地位と国民主権」となっている。あくまで立法府であり第一院である衆議院の副題に従いたい。「天皇の地位は主権在民と一体である」ということである。これを論じることが少ないことに驚きを覚える。そして「第十章最高法規」の第９９条に「〔憲法尊重擁護の義務〕第九十九条　天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあるのは、憲法全文の「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」と関連していることを守りなさい、という意味である。

�F わたしが各党に要望をしてきた長年の経緯から

　私が国会議員会館に陳情に行くようになったのは交通事故の被害者側であったのにも関わらず（裁判での後に過失ゼロが確定）、加害者に謝罪に来るように求めたところ、こちら側（運転者は現在の妻。車両の所有者は妻の姉）に過失が3割あると訴訟提起をしてきたので、わたしが私財200万円ほどをつぎ込んで裁判を闘った時に、一体どうすれば良いか分からず、参議院に電話をし、ある議員の会館に行って相談するように助言を受けたことに始まる。その議員会館の議員秘書に話を1時間ほど聞いてもらい、弁護士事務所を紹介され、係争地から離れているので、更に係争地に近い弁護士事務所を紹介してもらったことに始まる。参議院の事務局から紹介された参議院議員の議員会館（「国会事務所」と言う）以外にも他の政党の議員会館にも相談の書面は持参して、公平に各政党に状況を報告した。私は当初から、このように公平を期して国会議員会館各議員国会事務所に要望書を提出したり、陳情書の書式でお願いをしたり、情報の交換の為に訪れたりしてきた。なぜそのような対応をするのかと言えば、国会議員は一旦当選して議員になれば、所属政党がどの政党であれ「全体の奉仕者」であるからである。簡単に言うと「自民党から共産党まで」である。「ゆりかごから」という英国労働党政権時代の福祉表現のように、関係委員会の理事などに公平に陳情を続けてきた。

　この裁判ではこちら側に過失ゼロという判決が出た。「動いている車同士の事故には両方に過失がある」などと言われ続けていた事故処理業界であるが、「双方の過失がある」などという結論はどこからも導かれない。なぜならば交通事故の過失割合は「道路交通法」によって、その遵守度によってしか導き出せない法的構造を持っているからである。私は事故現場に実況見分に来た駐在所のおまわりさんが、相手方に「こんな危険な運転をしたらダメじゃないか」と叱っていたと妻から聞いた。交通事故の処理や交通安全意識の向上活動をしている街のおまわりさんがそう言ったのにはきちんとした根拠があるに違いないと、大学院2校で日本語教育学を収めた私に取っては「その言語行動を実証したい」と思い、加害者側からの訴訟提起を受けて立った。そして刑事コロンボばりに現場に行ってはメジャーをかけて、ミニカーで車の動きを再現し、紙の上に交差点の構造を書いて、事故の原因を探った。T字路での事故であったのであるが、通常一時停止義務がある側が直進する車にぶつかる場合に、接触事故タイプの傷が付く。ところが突っ込むような傷が残っていた。この傷があるということは、妻が運転する直進車両がいなければ、正面の石垣に突っ込んでいた、または斜めに石垣に衝突していたことを意味する。そして車の動きを再現して、事故の原因を解明して、加害者側運転手の若者にその確認をした。「どうしてわかったんですか！」と彼は答えた。「きちんと謝罪に来なさい」と私が言った。加害者側は謝罪に来ることはなく、訴えてきたのである。「被告には前方不注意があり過失が３割ある」と。そのようなことが本当にあるならば、千葉県警の駅前中最初のおまわりさんは加害者側を注意することはない。わたしは私費で相当な準備をし、法廷代理人弁護士にその半分の資料だけを渡して地裁を戦った。もちろん過失ゼロは全部の資料を出せば間違いなく勝ち取ることができたであろうが、あえて半分だけの主張をしてもらった。時には私が弁護士を叱ることもあった。弁護士と雖も「動いている車同士には両方に過失がある」などの誤った謂れを信じることがあるのだ。地裁でこちら側の過失ゼロが出た。妻は訴えられたことで道端で吐いたり、しゃがみこんだり、ひどいストレスを受けていた。過失ゼロを勝ち取ったことはせめてもの妻への感謝の行動であった。全損となった車両の評価額も裁判所は事実に基づいて判決を出してくれた。私は40社以上中古車市場を周り、ほぼ販売されていない昭和60年代の車両を一台見つけてその購入見積書を得て、弁護士を通じて裁判資料として提出してもらった。原告は実在する車両がないまま保険業界の査定表を証拠とした。こちらは実在する車両の見積もり書である。今ならばネットで検索できるであろうが、当時はいちいち中古車店を回るしかなかった。この見積書についても、私は弁護士に指導をした。「この車両の価格はいくらいくらですが、被害にあった小澤さんの奥さんの車両の評価ではないと思いますが」と弁護士が言ったので、私はこう言った。「被害車両は多額の修理をして現状復帰をしなければ評価額が算出できません。その場合に最も現物に近いものの評価額を以て被害車両の価値とするのです。それは形式論理学の来ぞです」と。こんなクライアントを担当してはたまったものではないだろうが、弁護士の先生にも勉強になったと思う。そして私は、過失ゼロ判決確定後に、弁護士事務所を紹介してくれた参議院議員の国会事務所を皮切りに各政党に報告に上がった。社民党では元沖縄県知事大田昌秀参議院議員の国会事務所で秘書の方、大田先生と歓談もさせていただくことができた。実は交通事故による示談は、本来弁護士法で弁護士しか担当してはならないものを、日弁連が日本損害保険業協会に貸し出している「免許貸し」のグレー制度であり、現在でも疑問が残る制度である。

　例えば60歳で定年をした夫婦が、買い物などに使う為に街車として軽自動車を新車で購入したとしよう。自転車代わりに大切に乗って20年経ち、走行距離もそれほど多くないとしよう。その軽自動車が事故被害にあって過失ゼロで全損したとしよう。すると損害保険会社は「査定額は5万円です」と販売価格を提示してくる。火災保険でも、生命保険疾病特約でも、現状復帰が大原則であるが、自動車保険だけは「売った金額」を示談で提示してくる。80歳になっていて年金生活をしている夫婦が、果たして5万円で安全な車を再度購入できるだろうか？これこそ整備された中古車のストックをネットに強い若者が企業として立ち上げて「則動く近似値の車両」と入れ替えるべきである。日本の中古車は日本では廃車にされるようなものでも外国に運搬船で輸出されて長期利用されている。ならば日本国内で再利用もすべきだ。私が判決確定後に各政党に報告に上がったのは、構造的に「現状復帰」が自動車事故の場合に行われていなくて危険だからである。私は交通事故で韓国人の友人2名を失っている。1986年ソウルアジア大会開催時期に、延世大学語学堂で半年間韓国語を学んだが、当時の韓国の人口は約4200万人で、24時間交通事故死亡者は1万人を超えていた。交通地獄ともいえる事態であった。日本に留学を希望する韓国観光公社慶州ホテル学校の卒業生で、高級ホテルに勤める友人2名が、いずれも交通事故で命を落とした。それもあって「裁判に勝つ」ことが目的ではなく「事故を起こさない社会」を志向する為に裁判を戦ったのである。

　自民党から共産党まで陳情に上がると、各政党の特徴が見えてくる。同じ要望書や陳情書でも、説明の持って行き方を変えると、秘書の方が話を聞いてくれるようになることもある。「烏来」というエステでアルバイトをする中国人留学生諸君が不当に法務省出入国管理局から収監されて強制送還される事件があった。日本人でこの事件を最初に知ったのは私であった。教え子の婚約者が日本の大学に留学していて、収監と強制送還の危険性があると連絡があったのである。私は婚約者の名前と在学大学名と学部と学年を聴いて、すぐに彼女の名刺を作り、翌日午前に東京駅で待ち合わせた。その時が初対面である。すぐに自民党から共産党まで陳情に回った。私のような日本語教師からすれば、学生を日本の大学などに進学させることに、想像できないほどの苦労をしてきた。入学後にも相談を受けることが多々あるほどである。「烏来」にはビザが切れた不法滞在の外国人が多数いて収監されて、強制送還の対象となった。政治的亡命の意思などがなければ、収監も強制送還も法的に間違ってはいない。ただし、悪質ブローカーに騙されて巨額の借金を負って日本に来る就学生なども居るので、社会としては人権問題として考慮する必要もあると考える。その根拠は世界的なアルピニストである植村直己氏の生前の新聞連載伝記を読んだことがあるからである。植村は有名になる前には、登頂費用を自分で捻出するしかなかった。アメリカでの登頂を目指した時に、植村は労働ビザがなかったが「スキーもできる」とジェスチャーで伝えて（実際はスキーはできなかった）採用されて、登頂費用が捻出できるまで長期間労働をした。明らかに不法滞在である。「太平洋ひとりぼっち」の堀江謙一氏も、アメリカの入国ビザを持たずにアメリカ西海岸に上陸した。逮捕されてもおかしくない事態であったが、アメリカ社会は単独航行で太平洋を渡った若者を歓迎し、拘束逮捕することはなかった。「烏来事件」は正規ビザを持っている留学生諸君を収監し強制送還しようと法務省出入国管理局が強権を強引に発動しようとしたものであった。正規のビザを持つ留学生を、不法滞在している外国人と同様に収監し、強制送還することは、明らかに日本国憲法が定める「人権の尊重」に齟齬する。私は国会議員会館の各政党の国会事務所に事情を伝えた。ある議員会館の秘書が動いてくれて、自分の仕事を数日休み対応してくれた。参議院議員会館会議室で被害者集会を持ち、新聞記事にもなった。日弁連に会場を移して会見が行われた。私も最後に登壇し「日本語学習者を留学生として進学させて日本の大学の国際交流を推進することは、日本語教師側にとっても大変な仕事であり、その成果を壊すことは日本の国際化に反する」とだけ述べた。法務省はしばらくは黙っていたが、とんでもない手段で、正規ビザを持つ留学生たちを収監し始めた。「烏来の労働規則には休憩中も職場の清掃などに努めること」とあるから、「休憩中も労働時間であり、留学生たちに認められているアルバイト時間の上限を超えた不法労働である」という強引な書類を作り、裁判所に収監を認める許可を出させた。「休憩中も労働時間である」ならば、収監や強制送還の前に、留学生たちに「未払い賃金」が発生していることになる。会社更生法によれば、倒産企業の資産は、�@労働者の賃金未払いに当てる、�A税金未払いに当てる、�B債権者への返済に当てる、と規定されている。「休憩中も労働時間である」ならば、未払い賃金の清算が日本社会側にあるのであって、それを行わずに収監・強制送還をするなどというのは言語同断である。中国社会で日本人が拘束される事件があると「まるで中国だけに人権侵害拘束事件がある」が如く報じられるが、日本国内においても人権侵害の収監・強制送還はあったのだ。私は日中国交回復時に中国から多くを学んだ。そういう経験もあるので日本語教師になって中国人に日本語を教える時にも中国の歴史・文化などを尊重しながら教えてきた。1972年9月29日の日中国交回復時、私は中学1年生であったが、すぐに中国ファンになった。家から近い私鉄の駅２つには商店街に「中国物産店」がそれぞれ現れた。1駅に数店舗ということもあった。英雄という万年筆を買い、おもちゃみたいな150円の万年筆も買い、『毛沢東語録』も買い、瓶詰の食品などもよく買った。『毛沢東語録』は中国上海で日本語訳をされたものであったが、よくわからないので、地元図書館に勉強に来ている大学生たちに説明をしてもらった。『実践論・矛盾論』を読んだのも中学生の時であった。鉱石ラジオで深夜放送を聴くと「毛沢東伝」を放送していた。それを毎週聴いていた。「烏来事件」での被害者は中国人留学生たちだった。「毛沢東の孫の世代に日本政府は何をしてくれるんだ！」という怒りがあった。私は中学生・高校生時代を通して『毛沢東選集』を全巻、日本語訳本であったが、読み終わっていた。

　その後、平成16年12月に内閣府公正取引委員会が「群馬県草津温泉地区人工入浴剤」への強制排除命令を出したという報道を偶然ラジオで聴いた。強制排除命令を受けた店の名前の中に、草津温泉に行くと必ず顔を出した店が含まれていた。翌日万座温泉に泊まる予約を取っていたので、まず草津温泉に行き、その店のあるじであるおばあちゃんと会って事情を聞いた。公取委の処分書もコピーを取った。万座温泉に1泊して、帰路妻をバスで返して、私だけ草津温泉の素泊まり旅館に泊まった。そこの本館には「草津温泉誌」という歴史書があったので、それを手に部屋で午前4時まで可能な限り「湯花」についての記述を読んだ。百科事典のような厚い書籍だったが、天然湯花、硫黄鉱山のくず硫黄を粉砕した湯花などいろいろなものがあることが分かった。

　そして公正取引委員会の処分書を再度読んだ。すると「ちゃんと調べていない」と感じる部分があった。「草津温泉は湯畑の湯花が一般に知られている」とあった。つまり調べもしないで「他はニセモノだ」と結論を出したであろうことは推測できた。草津温泉には湯畑樋湯花以外にも西の河原むしろ沈殿湯花、硫黄くず粉砕湯花などがあることは、資料や聞き取りで分かっていた。「Ａは正しい。ＢはＡではない。ゆえにＢは正しくない」という明らかに間違った論理で書かれていた。わたしは全国各地の湯花と呼ばれる商品を集められるだけ集めてみた。そして「入浴剤」と表記されているものは極僅かであり、残りの大多数には「入浴剤」という記述はなかった。景品表示法違反として「草津温泉地区人工湯花」は強制排除命令を受けたのであるが、強制排除命令を受けた業者の中には「人工湯花」であるのに「天然湯花」と表記しているものがあった。この2社、製造は1社で他社の包装紙で他社のものも作っていたが、その2社だけを処分すれば良かった事件であった。問題なのは「草津町製造湯畑湯花」は「入浴剤」と表記されていない。自分だけ調べても限界があるので「入浴剤」の許認可部署に繋いでほしいと厚生労働省に電話をした。当時の医薬食品安全課審査管理課という厚生労働大臣認可を出す部署を紹介された。担当官から、風呂に入れるもののすべてが「入浴剤ではない」と教えてもらった。「浴用化粧品類」は、厚生労働大臣認可品ではなく、都道府県への届け出制の「色付け・香り付け」のものであると教えてもらい、各都道府県の条例で定められているので、東京都の条例を一緒に見てみましょう、とホームページまで電話で導いてくれた。調べてみると基礎免許が化粧品製造免許・化粧品販売免許であり、化粧品の専門業として認められているので「色付け・香り付け」の範囲だけのものだから、届け出制度で良いという法的な建付けとなっていることが分かった。これに対して「入浴剤」は医薬部外品であり、厚生労働大臣認可品であり、審査も厳しい。なぜなら薬なのであるから、効用・効能が謳える以上、きちんとどの分量で利用すれば、どの症状に効用・効能があるかを明記し、医薬上の責任が発生するからである。基礎免許は薬品製造業免許と薬品販売業免許である。加えて言えば「温泉」は環境省参事官室管轄（当時）であり、「温泉と認められる基準を満たすと都道府県の薬務課から温泉としての認可が出る」法的建付けである。その為に定期的に、多くが10年に一度、多額の費用をかけて「温泉成分分析」をし、どの症状に対して改善の歯車が動きやすいかという「適応症」を専門的知見によって記す義務がある。「分析者〇〇県薬剤師会」などとあるのはその為である。そして温泉は誰にでも効果があるとは言えないので「ある症状を改善させる歯車が動き出す傾向がある」という程度の「適応症」だけが明記できる。温泉に効用・効能と明記すれば、管理省庁が異なる厚生労働省に踏み入ることになるので、できない。環境庁温泉法適応症、厚生労働省医薬部外品入浴剤効用効能という別世界なのである。例えれば、保育園が厚生労働省管轄であり、幼稚園が文部科学省管轄であるようなものである。

　更に数か月調べても「草津温泉地区人工入浴剤強制排除命令」の事件の何が問題なのか、確定できなかった。さらに厚生労働省担当官に4度目の電話を入れた。9か月間で4回である。なぜなら電話で指導を受けると、親切にいろいろ教えてもらうことが多く、長いと1時間近い電話になる。いくら何でも迷惑だと思い、できるだけ自分で調べた。成績不良の大学院生で2校も在籍して7年かかってやっと修士号を取得できたほどの「ぐずでのろまな」調査者である。しかしどうしても最後の確信が持てなかった。4度目の電話で担当官からこう言われた。「小澤さんのように温泉によく行って、いろいろ調べている方が、どうして経済産業省管轄で法的規定がない単なる土産物品である天然湯花をずっと入浴剤だと思い込んでいたのでしょうね」と。電話を切った。「私に草津天然湯花が入浴剤だとウソを頭脳に入れた間違った情報があるに違いない」と思い、久しぶりに公正取引委員会の処分書を読んだ。入浴剤と法的に規定されていない草津温泉地区の湯花を、公正取引委員会は「入浴剤」であると誤認した。そしてWikipediaで「湯花」を検索してもたら、間違って「湯花は入浴剤である」と記述されていた。明らかに間違った記事である。何度私が編集し直して訂正しても、その編集が削除される。いろいろな記者に聞いてみたところ「Wikipediaの記述は粗くて間違えていることがあるから参考程度にしかしない」と言われた。そして何と、公正取引委員会の処分書が、間違ったWikipediaの記述の丸写しであったのだ。私はこの「内閣府公正取引委員会草津温泉地区湯花誤認事件」の全容が解明できたので、徹夜をし、朝一番に厚生労働省の担当部署に電話を入れた。担当者は朝の会議中で、会議が終わったところですぐに私に電話を入れてくれた。そして前日電話で時間をもらったのに申し訳ないが、と前置きして、公正取引委員会処分書のホームページを一緒に開けてもらった。担当官の口から「やっちゃいましたね、公取委さん」だった。担当官がミスであると判断したのであるから、公正取引委員会の処分は間違った違法行為であるということが確定した。そして私は担当官にWikipediaの記述「湯花」を一緒に開けてもらった。4回も電話で長時間のレクチャーを受けていた私であるから、Wikipediaの記述が間違っていることは理解できたが、厚生労働省の入浴剤認可担当官にその事実を確認してもらいたかった。それを記録に残すことも彼ら「全体の奉仕者」公務員の仕事である。それこそが憲法第十章第99条最高法規に書かれた「公務員」なのである。

　当時の福田康夫首相と公正取引委員会委員長に内容証明郵便を送り、訂正と謝罪を求めた。すると番号通知のまま公正取引委員会のスタッフから電話がかかってきた。声は泣きそうであった。「処分に対して異議申し立てをしないという確約書を取ってある」と言い張る。それが問題じゃない！「入浴剤ではないものを入浴剤であると誤認して社会に毒を吐いた」ことをどう訂正謝罪するのかの問題である。同じ言辞を泣きそうな声で言う公正取引委員会スタッフ。「簡単なことだ。入浴剤の所轄官庁である厚生労働省の担当官になぜ、事前に確認を取らなかったのか？」と問い詰める。同じ言辞を泣きそうな声で言う。「誤認処分を受けた店のおばあちゃんはウソかも知れない返金を求める電話にいちいち対応して雪の中郵便局まで現金書留を出しに歩いて行ったんだ！人権侵害だろうが！」。同じ言辞を泣きそうな声で言う。ならば電話などかけてこなければ良いのだ。大学院のゼミなどはもっともっと事実認定に厳しく、間違った資料を出したり論理が間違っている発表をすれば、徹底的に糾弾されるのだ。

　実は、長々と「天皇制の存続」について、憲法論議をしたのは、軍国主義を再度起こさない為に「文民統制」が憲法に明記されていることを述べたかったのである。ドラマ「憲法はまだか」に「文民統制」を明記することを決定したシーンがある。第9条「戦争の放棄」の条文について、UN極東委員会で中華民国代表が「日本が再度戦争をしても、日本はそれを戦争とは言わないだろう。戦争の部隊を軍隊とは言わないだろう」という疑義が出されてそのままでは芦田均委員長により修正議論を経た日本国憲法がUN極東委員会から拒絶される危険性があった。憲法改正がUN極東委員会から拒絶されれば、日本の独立回復も実現しない。そこで吉田茂首相がソ連が求める「文民統制」を明記することを決めたのである。問題なのは暴走するのは軍隊だけではない。日本国憲法全文には「国民主権が世界普遍の原理」：であることが明記されていて、「これに反するあらゆる勅令・法令を認めない」と記されている。そして更にそれを確定する為に「第一章天皇」の上には括弧で副題が書かれている。「天皇の地位と主権在民」と。つまり天皇制度と国民主権・主権在民は一体なのである。逆に言えば、「国民主権・主権在民は神聖にして侵すべからず。国民主権・主権在民の後見人は天皇である」という構成になっている。

―――内閣府の公正取引委員会って、天皇制要らないんだ？

と正直思った。私は現在の象徴天皇制は日本に必須であると考える。上述のように長く資料を添えて述べてきたのは、明治憲法下の天皇主権を擁護する為ではない。私の親族でも戦死した者もいるし、長兄の従兄は1945年4月に幼くして他界している。戦争末期、まともな栄養も治療もなかった時代に幼くして命を終えた。

　薨去された�ｪ仁親王殿下。スポーツの殿下、ヒゲの殿下と呼ばれた三笠宮家の長男の皇族であった。万座温泉スキー学校黒岩達介校長の後輩として、オーストリア国立スキー学校に短期留学をされた。皇族としての公務の合間に本格的にスキーを学ばれた。そしてパラスポーツとしてのスキー競技普及に力を注がれた。日本各地でワークショップを開催された。群馬県万座温泉スキー場でもワークショップを開催され、先輩である黒岩達介校長と研究と普及と指導者養成に心血を注がれた。健常者指導を始めたばかりの若い指導者がパラ指導で分からないことがあって殿下に質問をすると、身分の分け隔てなく、年齢の重軽に関係なく、深夜遅くまで若い指導者にパラスキーの理論も実践も伝えようと指導を続けた。皇位継承順位6位の殿下である。皇宮警察も群馬県警もおまわりさんたちは、立ったまま殿下の指導が終わるまで待った。大変なご苦労である。黒岩校長夫人によれば、殿下の指導は時には深夜1時2時まで及ぶことさえあったという。私はそのワークショップの活動を黒岩校長から聞き取り原稿にして、観光温泉研究論文集の第13号に収録し、国立国会図書館東京館に送付して所蔵してもらう考えであった。原稿ができあがった所で黒岩校長に読んでチェックをしてもらった。校長は「この原稿どうするの？」と問うたので、論文集に収めて国会図書館に収蔵してもらうと説明をした。「ああそう。じゃあ、�ｪ仁親王殿下の宮邸に送って」と校長が言った。私は驚いた。宮様の邸宅に拙い原稿を送るなど想像もしていなかった。「大丈夫だよ。宮務官というスタッフの事務所に届くだけだから。報告はしておかないとね」とのことだった。原稿を郵送し安堵したところ、数日後に殿下が私の原稿にチェックを入れてくださり、宮務官の先生が送ってきてくださった。当時�ｪ仁親王殿下は糖尿病の闘病中であったが、市井の一国民であるわたしの原稿をチェックしてくださった。

―――皇室とはすばらしいものだ。皇室というのは国民にとって何なのだろうか？

その時から憲法のことを調べ、象徴天皇制と皇室のことを調べてきた。そして6年前に私の父が他界したのが憲法記念日。昨年GWは行動規制が解けた直後だったので、お寺に回向に行こうとしたが、大渋滞で諦めた。ならばと昨年5月3日からずっと憲法のことを調べようと決めた。私は象徴天皇制と皇族の存在意義が、憲法上「国民主権と一体」であるという構造を確信した。そしてもう1つ気付いたことがある。それは、

―――現世権力闘争が露骨に顕在化し、社会が分断する共和制に比べて、象徴天皇制を持つ日本は、国を二分し「対立社会」に陥る事態を避ける「安定装置」があるのである。アメリカ・韓国を見ると社会が分断されている。共和制の持つ危険性ではないだろうか？もちろん迅速な判断はしにくいかも知れない。しかし迅速な独裁政治よりは良い。問題なのは社会変革のスピードが遅いので、国民の政治的関心が低くなる傾向があるという欠点がある。

　　直近の群馬県知事選挙の投票率は30％を下回った。地方選挙で投票率が39％程度などということが最近特に多い。投票を呼び掛ける広報が盛んにおこなわれるが、出生数と同じように、各種選挙の投票率も下がる傾向にある。激戦であっても高い投票率にならない。私は投票に行くし、持ち込んだ万年筆やちゃんとしたボールペンで候補者名を

敬称を付して書く。先が丸まった鉛筆で立法府の成員になるかも知れない甲書写の名前を書かない。必ず投票に行くのは「戦死した多くの人々の慰霊の意味からも主権者国民として投票をしたいという理由がある。象徴天皇制と国民主権が一体である以上、国民主権が神聖なものであると考えている。

　もう1つの見解がある。地方では私のような新参者が何を言おうとも、意見は無視される。住民票を入れたらその地方自治体の主権者である。だが、実は地方では、その地の小学校・中学校を出た地元民のみが「土地の者」であり、移住した者は「よそ者」として扱われる。

―――お前は草津温泉人工湯花の公取委のミスを発見して最高裁まで争ったような奴だからこの土地に不要だ。

という雰囲気である。

―――県を通して国にいろいろ頼むことも多いのだ。国のミスを発見して訂正を求めて裁判を起こすとは何者だ！

である。草津町も群馬県も「天皇制は不要である」と考えているのだろうか？

　さて、この章の題名に話を戻そう。「行政府のミスを主権者国民が発見した」訳である。私は一人訴状を書いて最高裁まで争った。こういうことに長けた弁護士はほぼ居ない。そして居たとしても数百万円の弁護士費用を求められる。日本国憲法は国民皆のものである。明治憲法のような文語体ではない。物心つけば誰でも分かる内容である。「国民主権・平和主義・人権尊重」が大原則である。

　さて、内閣府の行政ミスがあった。こういう民主主義の根幹にかかわる事件について、私が各政党に働きかけた結果を報告しよう。こういう「国民主権」のことは、リベラルつまり野党が強い関心を持つだろうと思う人は多いだろう。しかし事実は逆なのである。共産党は無視。草津町議会の共産党議員が誤った情報をビラにして新聞に折り込んだ。私が住むマンションが脱税をしているという。うちのマンションを開発したホテルがリーマンショックの影響で経営に行き詰まったことがある。東京のファンドが負債を買い上げて、営業はそのままで、経営母体が変わった。草津町条例では個人でも企業でも所在5年未満の者が温泉権を前所有者から買うと、5倍の名義変更料がかかる。そしてホテルは営業を改善させて、経営権利を買い戻した。草津町外から経営権利を買い戻した。共産党町議は通常の5倍の温泉名義変更費用つまり町税を2度支払っておらず脱税していて、その総額は3億円に及ぶとビラを入れた。元からの住民に「お前のマンションは脱税しているらしいじゃないか」と言われて調べた。リーマンショック時のホテル社長で反町長派で困った町議に事実確認をしてみた。すると経営研が移る直前に、温泉権利がホテルから切り離されて、ホテル会長名義にされていたのである。私が住むマンションの温泉権利も管理組合法人に名義変更されて売却されていた。つまり温泉権利の町外移転もなかったし町外から町内への温泉権利の移転もなかったのである。共産党町議に「訂正と謝罪の散らしを新聞に入れろ」と言っても、逃げる逃げる。元参議院議員で共産党副代表の緒方靖夫氏にこの事件を報告し、町議を指導するように文書を送付しても無視。当然、公正取引委員会の処分ミスには無関心。そもそも天皇制を認めず国会開会の国事行為である天皇の開会の辞さえ、長年認めず欠席をしていたくらいである。天皇制とは戦前の軍国主義の残滓だと思っているようである。社民党もダメ。党首の秘書は留学生「烏来事件」の時に数日間つきっきりで支援してくれたが、「国民主権」に対する理解はない。反戦政策の政策集団になってしまった。立憲もダメ。辻本清美が衆議院議員であった頃、議員会館入り口ロビーの隣の世kに座ってタイ料理の予約の電話をしていたので、「公取委草津温泉湯花処分ミス」の資料一式を直接渡し、名刺交換もしたが、彼女には国民主権のことは理解できないのだろう。民主党政権時、彼女は財務副大臣を務めた。「平和の船」を立ち上げた者なので、彼女のブログをある時期読んだことがある。連日「この国にはお金がないんです」の連発。財務省の官僚のアナウンサーかと思った。そして彼女は、社民党時代に実際に雇っていない秘書2名分の給与を国からだまし取ったのだ。「不実記載」どころじゃない。あの頃の社民党はひどかった。「私が内閣総理大臣の芳名を揶揄すべきではない」と注意を促す文書を持参したら「この辺ではみんな、消えてなくなるしんきろうって、森喜朗首相のことを言ってますよ」と開き直った。連座制がなく、スタッフのこの女性が架空秘書給与搾取で逮捕されたようだった。私は喉元まで出ていた。「あなたの党首だって、過去の人だからどいてくれ、って言えるんですよ」と。どいたどいた過去の人、どいたたかこ、ってね。「そういう揶揄は言わせておけば良い」と言う森喜朗首相の方がよほど大人だった。立民は泉健太、枝野幸男両氏に内容証明郵便でこれらの事態を伝えたが、どうせ秘書のところで止まり、捨てたのだろう。そういう政党だから昨年10月の総選挙で比例票が7万票しか伸びなかった。国民民主党、れいわ新選組が比例票を大量の伸ばしたことと対照的であった。れいわも小さい政党の時に資料を送ったが反応なし。

「社会的弱者に光が当たる政治にしたい」という熱意は伝わるし、それゆえ議席を伸ばしたのだろう。だが、だが生活水準を人間並みいあげることと主権者国民として政治・社会を作ることに参加することは異なる。そして三橋貴明チャンネルで山本太郎が対談していて相当参考になるのであるが、1つだけ反論がある。ギリシャ危機はユーロ建てで多くの国債乱発して経済破綻が起こったという説明がある。ギリシャはユーロ通貨の発行権利がないので破綻したのであり、ワイマール憲法下のドイツのハイパーインフレの状況とは異なるという説明であった。しかし、韓国がアジア金融危機に巻きもまれて金泳三政権末期に経済破綻に陥り、韓国が国際通貨基金の管理下に入った事態を私は見ている。韓国は自国通貨「ウォン」の発行権利を持っているが経済破綻に陥った。日本も輸出産業が衰退して外貨獲得力が減退したら、また首都直下型地震や駿河湾東南海トラフ地震が発生したら、20兆円以上の復興資金が必要になると予測されているが、その資金力が日本にないと世界が判断した場合に、日本国債の金利の異常上昇が起こることがあり得る。三橋理論はある意味「コロンブスの卵」的斬新さを持っているが、反面日本政府破綻の危険性も存在すると私は思っている。国民民主党にはまだ働きかけたことはない。日本維新の会には郵送したが反応はない。橋下徹弁護士の事務所にも一応資料を送付しておいたが、彼の著作を数冊読んでみて、「A4用紙1枚に纏められないものは目を通さない」ようである。ただし橋下徹の著作から得たことは多かったことは明記しておく。維新の会が比例得票数を200万票減らした理由は、国民民主党の政策の方が分かりやすかったことがあるからである。そして前々回の総選挙で議席3倍増を果たした反動として、評価が落ち着いたということも指摘すべきである。

　さて「国民主権」の重要性を野党はどう対応したかを述べた。75年間「国体・神道・天皇」で明治憲法がばく進した為に、日本政府から「国民主権・平和主義・人権尊重」の理念が出て来なかった。同じように戦後80年、憲法制定77年強。この間「国民主権法」は制定されなかった。ある意味「理念」に過ぎないが、「象徴天皇制と一体である」ことが憲法に明記されている以上、「国民主権」を明記し、実効性を持たせないと何の為の天皇制なのか分からなくなるし、世界に説明ができない。それは戻って「国民主権が何なのか」を不明にし、具体化させなくなる。

　国民主権に対しての理解度はリベラル政党の方が高いと、私も当初思っていた。しかし与党にも働きかけてみると、名前は出せないが自民党2か所、公明党は党本部が反応した。特に公明党は戦前への回帰はできない歴史を持っている。支持団体である創価学会の創始者牧口常三郎氏が、戦時中、神道を絶対的な宗教として崇拝しろと軍国主義政府に強要されたが、日蓮宗系の信徒としてこれを拒みま牧口は「不敬罪」で投獄されて、獄中で死亡している。「国体・神道・天皇」の3セットの軍国主義は認めない立場である。公明党本部の国民の声を聞く部署があり私は多くの薫陶を受けた。私が1年間調べたことを報告がてら相談すると、もっと先に「こういうことを学んだら良いですよ」と指導をいただける。「公正取引委員会の処分ミス事件」のことを報告しても普通に聞いてくれた上で驚いてくれる。政府では与党の一翼を担っているから、なかなか行政府と戦うことは困難であろうが、観光振興のことを相談すると、一番丁寧に対応してくれるのが国土交通大臣・観光庁所轄大臣を長く務めた現公明党代表斉藤鉄夫議員会館であった。慰労してくれ、励ましてくれ、心配してくれる国会事務所である。前回総選挙で比例票が200万票減った。評論家たちは支持者の高齢化が原因だと言っていたが、実は公明党が得票を減らした理由は別にあると私は考える。「創価学会と一体の特定宗教を支持母体とする宗教政党なのだろう」という社会的評価が国民意識の根底にあるからだと私は考える。新代表になり「中道路線に立ち返る」と党の方向性を明らかにした。公明党の特に参議院議員の弁護士資格所有者がとても多い。つまり、良識の府、チェック機能の府に、安定して法律の専門家が存在しているのが公明党である。明治憲法が「国体・神道（神話）・天皇・軍国主義」であったものが、現行憲法では「天皇と一体の国民主権・平和主義UN主義・人権尊重」となった。「主権在民」でどこに住もうが人はその土地の政治参加者になれるというテーマは、もしかしたら公明党が最も進めることができるかも知れない。

　メディア各社にも「公正取引委員会の処分ミス」を伝えた。ほぼすべてのメディアが無視。朝日新聞群馬版だけが報じてしまった。しかしその記者は二度と電話に出なくなった。読売新聞社会部ダメ。NHKの渡辺恒雄ロングインタービューで「国が隠そうとするものを取りに行って記事にするのが新聞の使命だ」というようなことを渡辺恒雄は言っていた。「憲法研究会」の7名からは読売新聞社長兼主筆、別の者が読売新聞主筆と２名の逸材を輩出しているではないか。NHKダメ。手書きで社会部長から手紙が来た。抽象的に「今度も報道に努めます」などとあった。パソコンで打たないで手書きにすることで絶対に証拠を局内に残さない。悪時絵だ。あとNHK党のガーシー議員の議員会館にも資料を持参したが反応なし。というか国外逃亡していたから反応しようがない。偶然立花孝志代表と出くわした。名刺を渡したが立花氏から名刺は渡されなかった。

　「NHKから国民を守る」というのは、どういうことかと言うと、国民主権に基づく報道をしないことは「憲法違反」であり、国民主権に反するあらゆる法令・勅令は憲法上認めないと前文に書いてある以上「NHK法」が憲法違反となっていることを、立花氏は戦うべきであるが、それをする雰囲気は感じられなかった。兵庫県庁で告発者が自死に追い込まれた。県議も自死に追い込まれた。再選された知事の対立候補のSNSが止めらる事態も発生した。それは「国民主権・天皇制と一体」とは相いれない事態だろう。

　報道のTBSと言われた時代があった。永六輔が「私なラジオで何でも話します」と大言壮語を放った。最高裁までの「公正取引委員会処分ミス」の資料一式を彼の個人事務所に送付した。放送局になど送らない。ディレクターがもみ消すことなど日常茶飯事だろうから。彼は放送で「国民主権の本質にかかわるこの事件」を話さなかった。約束の反故または単なるリベラルのリップサービスだったのか？「申し訳ありません　永六輔」というハガキが届いた。既存メディアなんてそんなもんだと思う。フジテレビだって総務省の官僚を社外取締役に起用して、年間２０００万円の報酬を支払っていたではないか。.

　少子高齢化が急速に進む中、国民が政治に産業に主権者として積極的に参加する門戸が広げられなければ、日本という国は社会は、成長の可能性が矮小化されてしまい、経済規模が小さくなっていく。許認可権利者に忖度を続け、上の者はマウントして下の者を抑圧する。そんな社会に明るい未来はない。

　２００２年日韓サッカーワールドカップ共同開催の時、韓国は１９９７年の経済破綻から回復する道半ばであった。できることは何でもし、国民全てが苦しみ、苦境を打開しようと全力で前に進んだ。今の日本は韓国よりも生産性が低い。生産性が低く世界に売るものを激しい競争の中でも見つけ出すことができなければ、国債評価は下がり、金利が上昇して、日本経済は政府の破綻によって、経済もまた破綻する。韓国で実際にそれは起こったのである。

　最後に大学時代の恩師石原静子教授（故人）への感謝を述べたい。おそらく日本のどの大学も文部科学省の支配力に屈していて「国民主権と象徴天皇制が一体を成す」ことの研究も意見表明も、学部創設もできないでいる。そのことを真剣に考えていた研究者が石原静子先生であったと思う。内閣府公正取引委員会が処分ミスをしたことを、国の在り方として問うているのが、私一人では、何の為の戦後だったのかと言いたい。多くの市民を含む戦死者に対して、またアジア諸国や対戦国アメリカの戦死者に対して申し訳が立たない。私は現在６６歳であるが、日本語学校の教師時代に中国人の学習者たちとよく議論をした。「先生、文化大革命は大きな被害を生みました。間違っていました」という学習者たちに「間違っていたことは含まれるが、重要な問題提起を含んでいたと信じる」と私は言い続けてきた。毛沢東を絶対視することはしない。しかし毛沢東の言葉でどうしても気になる言辞がある。それで本論を締める。

―――憲法をきちんと言語資料として読むこともできず、行政府の誤謬も指摘できない報道人・大学研究者・政治者・行政者たちは「知識分子である！」

　第二次世界大戦で命を落とした世界の人々に強い慰霊の気持ちを表明する。特に死者が大きかったソ連・中国の戦死者に対してファシズムと戦った栄誉に対して敬意を表明する。KOREA 戦争における半島国民犠牲者に対して、深く深く哀悼の気持ちを表明します。世界のどこでも戦争がなく平和裏に日常生活を送れる世界を希求します。

※大韓民国初代文化庁長官民間登用国務大臣李御寧先生より対面で文化論の教授を韓国語でしていただき、著作に私の名前を入れて御署名を賜った。金大中・金泳三・盧泰愚各民選前任大統領閣下の秘書官の先生方から多大なる御厚情を賜った。KOREA 戦争で日本が戦後復興の軌道に乗ったことを私は無条件に喜ぶことができない。日本の国会議員、知事はじめ各位から御厚情を賜った。心より感謝申し上げる。